パイロットの適性試験
皆さんこんにちは、筆者のRichardです。
今回からパイロットの適正試験について書いていこうと思います。
航空大学校や自社養成パイロットを目指す方々にも役に立つ情報になるかと思いますので、ぜひ楽しみにしてください!
では本題に入る前に、まずは最近の適正試験の傾向について見ていきましょう。
最近の航空適正試験の傾向
航空適正試験といえば、一昔前まで簡易的なフライトシミュレーターを使った検査をすることが多かったようです。
しかし、最近はPCの前に座って与えられたタスクをこなす試験が導入され始めているようです。
ただでさえ受験者数が多いパイロットの試験。1人1人シミュレーターの前に座らせた上でその人の操縦技術を見るよりずっと効率が良いのでこのような動きになったのでしょう。
個人的には、誤った判断をすることがある人間が受験者の適正を判断するより、機械に任せた方が公平性があって良いのではないかと思います。
時代の流れ的に、これからはAIなども導入されるかもしれませんね。
では、本題に入る前に注意事項をお伝えしたいと思います。
注意事項
本記事をお読みただく前にあらかじめ注意しておかなければいけないことがあります。
それは、これから書くことを対策したからといってパイロットを目指す皆さんの適性を高めることはないということです。また、自社養成パイロットに代表されるような試験の合格率をあげることもないでしょう。
大事なことは、小手先の対策より日頃の努力です。
まずは自らのスキルを日々高めていくことに集中し、その上で本ブログを楽しんでお読みいただけますと幸いです。
航空適正試験の内容
では前置きが長くなってしましましたが、本題に入っていきたいと思います。
パイロットの適正試験については、大きく下記のように分類されます。
- Situational Behavior (特定の状況下における行動)
- Work-related Interests and Motives (職場における興味関心および動機)
- Applied Numeracy (応用数学)
- Spatial Orientation (空間認知能力)
- Reaction Speed (反応スピード)
- Complex Control (コントロール力)
- Monitoring Ability (観察力)
- Multi-tasking Capability (マルチタスク)
1つずつ解説していきたいと思います。
Situational Behavior (特定の状況下における行動)
こちらは、皆さんがどのような行動パターンをとっている人なのかをみるものです。
試験内容は、身の回りにいる人と比べて自分はどんな行動をする傾向があるのかについて回答していく心理テストになります。
制限時間はありませんが、回答スピードが測られています。あまりに回答スピードが遅いと人為的に回答を操作しているという扱いをされてしまうので注意が必要です。
Situational Behaviorに関する試験内容の詳細はこちらをご覧ください。
Work-related Interests and Motives (職場における興味関心および動機)
こちらは、皆さんが職場においてどんな行動パターンをとる傾向にあるかをみるものです。
パイロットも会社のサラリーマンである以上、会社側もその人がちゃんと一社員としてきちんと働いてくれるのかを見たいのだと思います。
試験内容としては職場における行動パターンに関する文章が3つ出題され、自分にとってどれが重要か、または重要ではないかを回答していく心理テストになります。
これも制限時間はありませんが、前の試験と同様に回答スピードが測られており、あまりにその回答スピードが遅いと人為的に回答を操作しているという扱いをされてしまうようです。
Work-related Interests and Motivesに関する試験内容の詳細はこちらをご覧ください。
Applied Numeracy (応用数学)
これは「応用数学」と書いていますが、ぶっちゃけると算数のテストです。
試験内容は下記の通りとなります。
- Translation of Units (単位の変換)
- Rule of Three (三数法)
- Percentage Calculation(パーセントの計算)
- Areas and Spaces(面積と空間)
こちらは時間制限がありますが、制限時間内に全ての問題が解き終わらないことが前提となっています。
本試験についてもっと詳しく見たい方はこちらをご覧ください。
Spatial Orientation (空間認知能力)
こちらは方向感覚や空間認知能力を測るテストです。
試験内容は2種類のコンパスをみて飛行機の向きと位置をひたすら選択する問題です。
これは慣れるまでが難しいテストです。
時間制限もあります。
Spatial Orientationに関する試験内容の詳細はこちらをご覧ください。
Reaction Speed (反応スピード)
こちらは瞬発力を測るテストとなっています。
2分間くらいのテストで、時間が来たら自動的にテスト終了です。
見た方が早いので、詳しくはこちらをご覧ください。
Complex Control (コントロール力)
こちらは複雑なタスクをコントールする力をみるものです。
もっと詳しく言うと、目の前に見えているタスクをコントロールするのに、うまく腕や手を使うことできるかを測るものです。
試験内容はチューブの中を前(画面奥)に向かって進みながら、PCのマウスを操作して障害物を避けていくものです。
多くの障害物を避ければ避けるほど進行速度は増していき、難易度が高くなっていきます。
ちなみにキーボード操作で速度を落とすことも可能です。
制限時間は3分間で、その中でなるべく長く進めばスコアが高くなります。
こちらも見た方が早いので、詳しくはこちらをご覧ください。
Monitoring Ability (観察力)
これは読んで字の如し、観察力を測るものです。
試験内容は、不規則に動く点が画面上に何個あるかをなるべく早く回答するというものです。
正解すればするほど点の数が増え、難易度が増していきます。
制限時間は2分です。
Monitoring Abilityに関する試験内容の詳細はこちらをご覧ください。
Multi-tasking Capability (マルチタスク)
これはパイロットの世界では超有名な試験ですね。
昔はフライトシュミレーターを操作させながら計算問題を解かせたりしていたようですが、これも現在はPC上のゲームで測ることが多くなっているようです。
基本的な試験内容は、3分割されたPCのスクリーンに表示されたそれぞれのタスクを同時進行で処理していくものです。
Multi-tasking Capabilityに関する試験内容の詳細はこちらをご覧ください。
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます!
今回ご紹介した適正試験は、どれか1つのスコアが良くても他がボロボロであれば適性がないものとして扱われるそうです。
なのでバランスよく、かつ他の人よりスコアが高くでるように頑張っていきましょう。
また冒頭でもお伝えしましたが、この適正試験は対策のしようがありません。
受かる人は受かるし、落ちる人は落ちる。
もし合格できたら、適正のある子として産んでくれたご両親に感謝しましょう。
ただ、これに落ちてもパイロットとしての才能がないというわけではありません。
たまたま他の人より「適正試験が上手にできなかった」というだけの話です。
航空適正試験は合格したけど訓練の途中でフェイルになった人や、逆に適正試験は不合格だったけど自費訓練などでパイロットになった人がいるというのが現実です。
どんな形であっても最終的にパイロットになることができれば、それはそれで夢が叶ったということです。
ぜひいろんな選択肢を知った上で、自分を信じて頑張ってください!