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パイロットの航空適正検査 〜Applied Numeracy (応用数学)〜

皆さんこんにちは、筆者のRichardです。
前回は数あるパイロットの適性試験のうち、Work-related Interests and Motives (職場における興味関心および動機)についてご紹介しました。
そして今回は、Applied Numeracy (応用数学)について書いていこうと思います。
その前に、まずは航空適性試験の概要を見たいという方はこちらからどうぞ。

Applied Numeracy (応用数学)の試験内容

これは「応用」と書いていますが、実は簡単な数学です。いや、むしろ算数のテストです。
試験内容は下記の通りです。

  • Translation of Units (単位の変換)
  • Rule of Three (三数法)
  • Percentage Calculation(パーセントの計算)
  • Areas and Spaces(面積と空間)

時間制限があり、基本的に時間内に解き終わらなくて当たり前のようです。
また、電卓があらかじめ準備されている場合もあります。

では、一つずつ問題を解説していこうと思います。

Translation of Units (単位の変換)

これは読んで字の如し、与えられた単位を変換していく問題です。
問題の内容自体は簡単ですが、単位が英語で記載されているのと、日常的に使いわない単位も扱っていくので、意外と考えさせられてしまうかもしれません。 

では、実際の試験画面を見てみましょう。

問題文を意訳すると、下記のようになります。

工場の作業場は0.05kmの長さがあります。これは何mにあたるでしょう

1km=1000mなので、答えは50mですよね。
※上の画像は誤った選択肢を選んでいます。

他にも下記のような問題がありますので、自力で解いてみてください。

A working pit has a base area of 860 square decimeters. How much is this area in square meters?
意訳:坑道は860平方デシメートルの底面積があります。これは何平方メールにあたるでしょう?

どうでしたか?

では、解説をしていきますね。
まず、860平方デシメートルのベースエリアが仮に正方形だったとして、その一辺をxデシメートルとしたら、その面積はx2平方デシメートル(=860平方デシメートル)になりますよね。
ここでデシとは1/10を表す単位なのでxデシメートルをメートルに換算すると0.1xメートルとなります。
この一辺を使って面積を出すと0.01x2平方メートルとなります。
つまり、860平方デシメートルの面積を平方メートルに換算するとときは、「x2平方デシメートル→0.01x2平方メートル」という変換をすればいいので、860×0.01=8.6平方メートルという解答を求めることができます。

実際の試験では、円の面積(area)や円周(perimeter)などの日本語だと分かるけど英語だとなんて言うんだろう?となる単語がたくさん使われていきます。しかも、「デシ」などのようなあまり日本で使われない単位を含む問題も出るので、そういった単語をあらかじめ学習していく必要がありそうです。

おすすめの対策は、以下のどちらかの本を使って集中的に英語で算数(数学)を学ぶことです。

特に、海外でパイロットのライセンスを取得したいと思っている人や、国際線の運行に携わりたい人は、どのみち英語で算数(数学)の勉強をさせられるので、早めに学習しておくとよいでしょう。

ちなみに英語が得意であれば、個人的にEverything You Need to Ace Mathの方をおすすめします。

Rule of Three (三数法)

ここからは三数法の問題について解説していきたいと思います。
三数法とは、与えられた2つの情報から3つ目の情報を算出することです。
例えば以下のような問題です。

1人がやると5時間かかる仕事がある。これを5人で実施するとどのくらいの速さで仕事が終わるか。

この場合、与えられた2つの情報は「1人」と「5時間」です。
そして、3つ目の求めたい情報は「5人で実施するとどのくらいの速さで仕事が終わるか。」です。
求め方は5時間÷5人=1で、結果的にこの仕事は5人で実施すれば1時間で終わるということが分かります。

他にも以下のような問題があります。

直径(diameter)が0.6mの車輪を持つ飛行機がある。これが25回周ったら何メートル進むことになるでしょう。

答えは(円周)×(周回数)= {0.6m(直径)× 円周率(3.14)}× 25回 = 47.1mです。

三数法問題も英語で書かれていますが、問題自体は大して難しくはないので全問正解するくらいの急いで解答していきましょう。

Percentage Calculation(パーセントの計算)

これは皆さんが想像しているようなパーセントの問題です。
たとえば、以下のような問題です。

全席数の12%がファーストクラスの飛行機がある。そのファーストクラスの半分の席に16人が座っている。この飛行機の全席数を求めよ。ただし、小数点第一で四捨五入せよ。

求め方を紹介すると、まずファーストクラスの全席数は16人×2=32席。それが飛行機の全席数の12%にあたるので32×100/12 ≒ 267席という感じです。

こちらは少し複雑な計算が必要なので時間が足りないかもしれません。

Areas and Spaces(面積と空間)

これは面積と体積を求める問題です。
たとえば、以下のような問題が出題されます。

A cylinder has a base area of 250 cm2 and a height of 15 cm. What is the cylinder’s volume in cubic decimeters?
意訳:
底面積が250cm2で、高さが15cmの円柱がある。この円柱の体積をデシメートルで求めよ。

円柱の体積の求め方は「底面積×高さ」なので、250×15 = 3750cm3であることがわかります。
デシメートルは0.1m(10cm)のことを指します。
つまり、1dm3 = 1000cm3なので、答えは3750 ÷ 1000で3.75dm3となります。

実際に受験する前に図形の面積や立体の体積を求める公式を復習しておきましょう。

おまけ

ちなみに下記のサイトで実際の試験を無料で体験することができます。
https://www.latestpilotjobs.com/webgame/free/id/37.html

まとめ

今回のApplied Numeracy (応用数学)は唯一対策ができる適正検査です。
以下のような本を使って必ず慣れておきましょう。

ちなみに今回の試験内容は、SPIの非言語や英語と重なる部分もあります。
なので、自社養成パイロットを目指す就活生は、ついでに学習ができて一石二鳥ですね。

次回はパイロットの航空適正検査 ~Spatial Orientation (空間認知能力)~について解説していこうと思います。

このブログが誰かの役に立ちますように。

To be continued…

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