飛行機

パイロットの航空適正試験 ~Multi-tasking Capability (マルチタスク力)~

こんにちは、Richardです!
前回は数あるパイロット適性検査のうち、Monitoring Ability (観察力)についてご紹介しました。
そして今回はMulti-tasking Capability (マルチタスク力)について書いていこうと思います。
内容を見る前に、まずは航空適性検査の概要や全体像を確認したいという方はこちらからどうぞ!

マルチタスク試験の現在

適性検査の中でもマルチタスク試験はパイロット界隈では超有名ですよね。
昔はフライトシュミレーターを操作させながら計算問題を解かせたりすることでマルチタスク力を測ってたようですが、これも現在はPC上のゲームで測ることが多くなってきたようです。

航空会社によって様々な適性検査を用意しているみたいですが、今回はその中から1つをご紹介します。

実際の試験例

今回ご紹介する試験内容は、PCのスクリーン上に表示された3つのタスクを同時進行で処理していくものです。
試験時間は3~5分間くらいとなっています。
ちなみにメインの試験の前後に心理テストなどがある場合がありますので、今回はそれらを含めてご紹介したいと思います。

メイン試験の前の心理テスト

試験内容によっては、メインの試験を行う前に簡単な心理テストを行う場合があります。
たとえば今回の試験では以下のような質問が出題されます。

意訳:あなたにとってどちらが重要ですか?
A. 一番になりたい。
B. ドベになりたくない。

他にも、以下のような質問があります。
Q. 鍵をなくしたら最初に何をしますか?
A. 鍵をなくした場所として明らかそうな場所を探す。
B. 立ち止まってどこでなくしたか一旦考える。

ちなみにある程度英語力がないとびっくりしてしまうと思いますので、日頃から英語の勉強はやっておきましょう。

では、いよいよメインの試験のご紹介です。

メインのマルチタスク試験

簡単な心理テストが終わった後は、実際にマルチタスクの試験に入っていきます。 
さっそく実際の試験画面を切り取ったものを見てみましょう。

上の画面を見てわかる通り、PC画面が上・左下・右下に3分割されています。
画面上部ではコックピットからの景色を表現しており、目的地に向かって進んでいます。
左下では飛行機を上下キーで操作しながら障害物を避けていくゲームが表示されています。
右下では簡単なミニテストが出題される画面が表示されています。

なお、試験中はヘッドホンをつけ、あらかじめ録音されたATC(管制官)からの指示も聞かなければいけません。
では、それぞれの画面の解説をしたいと思います。

画面上部のコックピット

まずは画面上部に表示されたコックピットからの景色の映像について解説したいと思います。
こちらもしっかりとゲーム性をもったものになっています。

遊び方は簡単で、見えている景色の中で飛行機が通ったら、画面の中央にある「Aircraft」と書かれた緑のボタンをクリックします。
上の画像であれば、左奥の方に飛行機が小さく飛んでいるのが見えているので、今のタイミングで「Aircraft」ボタンをクリックすることになります。


また、ご自身の飛行機がチェックポイントに到達したら自動的に旋回するようになっています。
なので、そのタイミングで「Aircraft」ボタンの下にある「Waypoint」と書かれた赤いボタンをクリックします。
ちなみに旋回し終わって機体が元の態勢に戻るときにも方向転換したという扱いになりますので、同じく「Waypoint」ボタンを忘れずにクリックするようにしましょう。

画面左下の飛行機のゲーム

次に左下の画面の解説です。
こちらでは飛行機が表示されていて、上下キーで操作することができるようになっています。
そして画像にあるような白くて細長い四角形の障害物が画面右から次々と現れてくるので、飛行機を操作しながら避けていきます。

時間が経つにつれて障害物の量が多くなって難易度が上がりますが、集中を分散させておけば余裕でかわすことができる程度のものです。

画面右下のミニテスト

最後に右下の画面の解説です。
こちらは簡単なミニテストが次々と出題されます。
ミニテストは「問題→正解を含む4択の選択肢」の順に表示されます。
それぞれ3秒くらいしか表示されず、どんどん次の問題に移ります。
なるべく早く問題の内容を理解し、解答をするように心がけましょう。

では、試しに画像に表示されている問題を解いてみましょう。
問題文意訳:連続する数字の規則性を考えて空欄を埋めよ。3, 8, 13, _, 23)

一見難しそうですが、冷静に考えれば最初の数字の3から5ずつ足した数字が並んでいることが分かります。
そうすると空欄に入る数字が18であることが分かるので、この画面の後に表示される「15, 16, 17, 18」という選択肢の中から「18」をクリックすればいいということになります。

ちなみにこちらのミニテストは、上記のような簡単な計算問題だけではなく、正しい方向を示しているコンパスを選択肢の中から選ばせたり、色のテストをさせたり、英単語のただしいスペルを選ばせたりするような種々雑多な問題が出題されます。
1点集中にならない程度に頭をフル回転させて解答していきましょう。

ここまで書いたことを全て読んだらこの試験がどれだけ忙しいものかが分かると思います。
でも、これで終わりではありません笑

この試験が終わったら、debrief問題が10問ほど出題されます。
debrief問題とはマルチタスク問題で表示されていた画面の中で起きていたことをどれほど覚えているかをテストするものです。 

問題例は以下の通りです。

問題意訳:マルチタスクテストの中で何機の飛行機をみたか?

他にも以下のような問題があります。

  • 何人の管制官の声が聞こえましたか?
  • 自身の飛行機はどのようなルートを通りましたか?

ボーと受験していたら見たもの聞いたものを全て忘れてdebrief問題が全滅になってしまいかねません。
なるべく試験中で経験したことは覚えておくよう意識しましょう。

まとめると、全体のテストの流れは「心理テスト→マルチタスク試験→debrief試験」となり、ここまでで大体5分ほどのテストになります。

しかし、この試験はまだまだ終わりません笑
受験者には「マルチタスク試験→debrief試験」の流れをもう一度受験してもいます。

内容は全く同じで、前回よりどれくらい正解率が増すのか、またどれくらい同じミスをしないのか等を見ていきます。
なので、前回より改善する意識をもって試験にのぞんでください。

おまけ

今回ご紹介した試験に近いものがYouTubeに上がっていましたので一応貼っておきます。

引用元:https://youtu.be/EOBgQEtLJiQ

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます!

マルチタスク試験はこれ以外にもたくさんの種類があります。
例えば以下のようなものがそうです。

引用元:https://youtu.be/rapTwumfSes

実際の試験ではどれが出題されるか分かりません。
しかもこの手の試験は練習してもできない人はできないので対策不可能なテストです。
もしこの試験を合格することができたら自分を信じていいでしょう!

では、これでパイロットの適正試験の説明を終わりたいと思います。

このブログが誰かの役に立ちますように。

To be continued…

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