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リスニング力を効率よく上げる方法

皆さんこんにちは、Richardです。
突然ですが、英語の中でもリスニングって厄介な存在だと思いませんか?
外国人との会話で一番集中力を使うのが相手の話を理解しようとする時ですし、TOEICなどの英語試験では目を閉じて全集中を聴覚にそそぐ方もいらっしゃるくらいです。
そんな時に一発で聞き取れなかった時の絶望感といったら半端ないですよね😭

今回は、そんな皆んなの悩みであるリスニングをいかに効率よく克服していくかについてご紹介したいと思います。

ちなみに今回はこちらの書籍も参考にして記事を書いています。
正しい学習法に関する知識をもっと極めたいという方はぜひ読んでみてください。

リスニングの脳内処理プロセス

では、本編に入っていきましょう。

効率のよい学習方法を深く理解するために、まずはじめにリスニング時に人がどのように脳を使って言語を処理しているかを理解する必要があります。
まずは以下の画像をご覧ください。

一つずつ解説していくと下記の通りです。

音声入力

こちらは文字通り、音声を耳に入力していくことです。
ここではまだ純粋な音だけの情報を脳に入力していきます。

音声知覚

音声知覚とは、音声入力した音を正しく単語に分解することです。
人間が話す言葉は単語ごとにポーズをおかないので、ひとまとまりの音声を頭の中で単語に分解する必要があります。
例えば下記の英文を聞いてみてください。

よくある聞き間違いとしては、”He gave a street.”です。
これだと意味が通りません。
つまり、正しく単語に分解できていない(音声知覚を失敗している)ということになります。

ちなみに今回の音声の正解は”He gave us treats(彼は私たちにお菓子をくれた)”でした。
お気づきの通り、音声知覚ができていなければ、どれだけ単語や文法の力があってもその知識が無駄になってしまうのです。

意味処理

こちらは音声知覚したものを語彙や文法、および文脈の力を使って意味処理していくことです。
こちらは正確性スピード(瞬発力)で構成されます。
どれだけ正確に意味を処理することができても、その瞬発力がなければネイティブスピードのリスニングをすることは困難になります。

文理解

文理解とは、音声知覚と意味処理を全て完了させて、話者がその英文で何を伝えたいかを理解することです。
音声知覚や意味処理のどこかのフェーズでつまづいてしまうと、文理解に至ることはできません。

では、リスニングにおける脳内処理プロセスを理解したところで、いよいよ効率のよいトレーニング方法をご紹介したいと思います。

効率良くリスニング力を鍛える方法

まずは学習手順を一覧にすると下記の通りです。

  1. Dictationで自分が音声知覚できない、または意味処理ができない英文を洗い出す。
  2. Dictationで聞こえなかった原因を分析する。
  3. 意味処理ができない英文については、知らない単語か文法が含まれているはずなので、その単語と文法を知識として覚える。
  4. 音声知覚ができない音は、OverlappingまたはShadowingを繰り返し実施することで、その音を頭に覚えこませる。

それぞれ上から順番に解説していきたいと思います。

①Dictationで自分の課題を見つけよう

Dictation(ディクテーション)とは聞いた音声を書き取ることを言います。
目的は自分が音声知覚できない、または意味処理ができない英文を洗い出すことです。

では、早速実施してみましょう。
以下に3つの音声を準備しておりますので、一つずつ聞いてDictationしてみましょう。
チャンスは3回です。3回聞いても分からない(書き取れない)ときは諦めてください。

こちらをクリックすると解答・解説が表示されます。
  • She is weighing some fruits.(彼女はいくつかのフルーツの重さを測っている)
  • They need to buy a tent and a sleeping bag.(彼らはテントと寝袋を買う必要がある)
  • I’ll give him a ride.(私は彼を車に乗せます)

みなさんは全て自信持って書き取ることができましたか?
ちなみに私の友人にDictationさせたら以下のようになりました。

では、ここまでできたら次のフェーズに進みましょう。

②聞こえなかった原因を分析しよう

Dictationで自分が苦手としている音声を洗い出すことができたら、次はその音声がなぜ聞こえなかったかを分析しましょう。
ここでは先ほどの友人のDictationの結果を分析してみたいと思います。

1番目の文章の分析(She is weighing some fruits.)

聞こえなかったのはweighingの部分のようです。
ただ、カタカナで記載した箇所をみると、発音は正しく捉えられているようですね。
後で友人に聞いてみると、weighing(重さを測っている)という単語を知らなかったようです。
なので、1番目の文章はweighingの単語の意味を覚えればOKということですね。

2番目の文章の分析(They need to buy a tent and a sleeping bag.)

聞こえなかったのはtent and aの部分のようです。
こちらもカタカナで記載した箇所をみると、発音は正しく捉えられているようですね。
ただし、本人に聞いてみると「テンテンダ」を1つの単語だと勘違いしているようでした。

上記より、今回は音声知覚(聞いた音を単語に分解すること)ができていないパターンとなります。
なので、まずはtent and aがなぜ「テンテンダ」と聞こえるのかを知る必要があります。

答えから言うと、これは連結(リンキング)という音声変化が発生しているのが原因となります。
連結とは単語の最後の子音と次の単語の母音がつながることです。
今回の場合で言うと、tentの最後のtとandのaがつながって「テンン」という音を作り、andのdと次の冠詞のaが連結して「ン」という音を作っているので、全体で「テン」という音になるのです。

※音声変化に関してもっと学習したいという方はこちらの記事や以下の書籍がおすすめです。

そして、tent and aがなぜ「テンテンダ」と聞こえるのかが分かったら、次はその音を頭の中に記憶として叩き込むトレーニングに移ります(やり方は後ほど紹介します)。

3番目の文章の分析(I’ll give him a ride.)

聞こえなかったのはI’llとa rideの部分のようです。
こちらもカタカナで記載した箇所をみると、発音は正しく捉えられているようですね。
ただし、本人に聞いてみると「I’llを『オー』と発音することを知らなかった。あと、『モラーイ』を1つの単語だと勘違いしてしまった」とのことでした。

ということで、今回も音声知覚(聞いた音を単語に分解すること)ができていないパターンとなります。
では、なぜ上記のように聞こえてしまったのか。
それは今回も音声変化が原因となります。
I’llは「アイル」とだけ発音すると理解している日本人が非常に多いのですが、ネイティブの世界では「オー」と発音することの方が多いです。
こちらの発音方法のことを弱形(weak form)と言い、あまり強い意味を持たない単語がこの弱形で発音される傾向にあります。
ちなみにI’llを「アイル」と発音するのは強形(strong form)側であり、特にその単語を強調して伝えたい時にしか使わない発音方法となります。

次にa rideを「モラーイ」と聞き間違えた原因について探っていきます。
こちらはすでにピンと来た方もいらっしゃると思いますが、今回も連結(と脱落)が起きています。
解説を画像で貼り付けておきますので、ぜひ以下をご覧ください。

※音声変化に関してもっと学習したいという方はこちらの記事や以下の書籍がおすすめです。

③意味処理できなかった単語と文法を覚えよう

ここからは「できなかったことをできるようにするため」のフェーズです。
まずは意味処理ができなかった箇所からアプローチしていきましょう。
友人が今回のDictationで意味処理ができなかったのはweighingのみでした。
そして、その原因はweighingの意味を知らなかったことだったので、その単語をノートや暗記(単語)カードに書いておき、地道に覚えていけば対策ができます。
ちなみに暗記(単語)カードにはweighingだけを書くのではなく、She is weighing some fruits.と書いておき、weighingの箇所にマーカーを引いておくと良いでしょう。
そうすればweighingを英文の中でどう使えばいいか、用法までおさえることができます。

④音声知覚できなかった音をOverlappingまたはShadowingで覚えよう

次は音声知覚に対する対策です。
聞いた音を正しく分解できない時の大きな原因は音声変化によるものです。
音が連結したり、脱落することで想定した音と違う音が流れるから、聞いた音を単語に分解ができないという現象が発生してしまうのです。
だから、音が変化した後の音を覚えて、次に同じ音が流れても音声知覚できるように対策しておきましょう。

ちなみに今回友人がDictation時に音声知覚できなかった音はtent and aとI’llとhim a ride.でしたね。
一応、音声の分析をしている時点でそれらの発音(音声変化後の発音)が色濃く記憶として残るので、例えばもう一度音声を聞いて「テンテンダ」と言われても、その場ではすぐに「テンテンダ=tent and a」と知覚できるかと思います。
ただ、1ヶ月後や1年後はどうでしょうか?
同じように正しく音声知覚できるかと聞かれると自信を持って「はい」とは答えにくいでしょう。
だから、その音を記憶として定着させていく必要があるのです。
その時に活躍するのがOverlappingやShadowingです(詳しくはこちら)。
これらは全て音声のモノマネが目的となりますので、発音はできるだけ音声に近づけてモノマネするように意識しましょう。
そうすれば、「テンテンダ=tent and a」や「オー=I’ll」や「ヒマラーイ=him a ride」という公式が頭の中に定着されていきます。

OverlappingやShadowingはできれば3日から1週間ほど毎日10分ずつ実施するのが望ましいです。
そうすれば、音声変化が起きた後の音と、その音を構成する単語の組み合わせが長期記憶として定着してくれるようになります。

まとめ

かなり長くなってしまいましたが、ここまで読んでみていかがだったでしょうか?
独学で学習をされている方は、闇雲に問題集を解いたり、音声の聞き流しだけで学習を完結させてしまうので、なかなか自分の課題となっているところにフォーカスを当てられていない方が多いのが現状だと思います。

効率の良い学習のためにも、自分の課題となっている部分を早く見つけ出し、それを解決することだけに学習時間を使っていくべきだと思います。
なので、上記のやり方を上手にご自身の学習に取り入れてみてくださいね。

もしDictation用の教材に迷われたら、以下のようなTOEICの公式問題集のPart1,2の英文を使うとよいです。
ちなみに私は下記の3冊を今回のやり方で1ヶ月間学習したら、本番のリスニングパートで満点を取得しました。

もし今回のやり方が自分だけではできないという方がいれば、お金はかかりますが、英語のコーチングを頼むのも一つの手だと思います。
ぜひご自身に合ったやり方で、楽しい学習生活をお送りください。

では、今回はここまでにしたいと思います👍
お疲れ様でした!

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